キリストの捕縛
作品説明
キリストがユダの裏切りによって捕縛される場面、ユダの接吻を合図に兵士たちがいっせいになだれ込んできた瞬間である。
左端には驚いて逃げ出す弟子、接吻しようとするユダ、捕らえようとする兵士たちの動きの中に目を閉じ停止しているかのようなキリスト。動と静によってキリストの存在感が高まる演出となっている。
右端にいるのはカラヴァッジョ自身ではないかといわれている。
この作品は制作直後に紛失してしまい、その後400年もの間どこにあるのか分からなかった作品であるが、1991年アイルランドの修道院で発見された。
実は1920年スコットランドでオークションにかけられたという噂もあったのだが作品の行方は分からなかった。
1991年アイルランドの修道院を改修する時に他の絵と共に出てきたもので、額縁のプレートに描かれた作者の名は「フォントホルスト」と書かれていた。
しかし、この作品を発見したイタリア人の美術修復家が様々な証拠を収集し「カラヴァッジュ」の作品であることを証明した。
本作の主題は、『新約聖書』の「マタイによる福音書」 (26章47-56)、「マルコによる福音書」 (14章43-50)、「ルカによる福音書」 (22章47-53)、「ヨハネによる福音書」 (18章3-12) から採られている[13]。ゲツセマネの園で3度目の祈りを捧げた後、イエス・キリストは「もうこれでよい。ときがきた」というと、弟子たちとともに帰路につく。その途中、イスカリオテのユダがユダヤの祭司やローマの兵士たちを伴って近づいてくる。ユダはイエスに近づくと、挨拶をして接吻した。ユダは、祭司や兵士たちに自分が接吻する相手がキリストであると教えていたのである[13]。たちまち、キリストは兵士たちに捕らえられた。この時、ペテロがキリストを逃がそうと、祭司の従者マルコに近づき、彼の片方の耳を切り落とした。これを見たキリストは「刃向わないように」と命じ、従者の耳を癒した。キリストは自身が捕縛されることは預言を成就するための過程であり、邪魔をしてはならないと命じたが、これを機に弟子たちは1人残らずキリストを置いて、逃げてしまうのだった[13]。
この絵画には少なくとも12点の複製が知られている。
画家
Michelangelo Merisi da Caravaggio
1571-1610
カラバッチオと言えば、この人を指す。バロック期のイタリア人画家、ルネッサンスの後期に登場し、ローマ、ナポリ、マルタ、シチリアで活躍した。21歳喧嘩で人を怪我させ、ミラノを飛び出してローマへ逃げ込んだ。
カラバッジオの画風は、劇的な明暗対比(キアロスクーロ)と徹底した写実主義にあります。現実の人物やものをそのままに描くことで、見るものを惹きつける、感情的なインパクトとドラマを生み出し、バロック美術に大きな影響を与えました。また、彼の短く破天荒な生涯も、作品の強さに深みを与えています。生涯にわたって描かれた絵は、60作品と数が少ないのは、あちこち転々と居場所を変えたことや、犯罪に関わったことで、十分な時間がなかったことや38歳で死亡したことが要因と考えられています。
作品情報
- 画家の通称
- カラヴァッジオ
- 画家の国籍
- イタリア
- 美術館名
- アイルランド国立美術館 ダブリン アイルランド
- 制作年度
- 1602
- 大きさ
- 133.5X169.5cm